昨日から始まったGrowth Hacker Month。
その第一弾として、Huluのグロースを手がけ、現在は500StartupsでGrowthのメンターをしているAndrei Marinescu氏がグロースハックとは何か、そしてHuluでの自身の経験を話してくれた。
グロースハックって何って方はこちらの記事をどうぞ。 「グロースハック」とは
Growthとはなにか?
まず氏は、Growth Hackという言葉の代わりに、単にGrowthという言葉を使った。 Growth Hackというと、小手先のテクニックのようなイメージを持ってしまうが、後に話す通り、それは全く違うからだ。
Growthとは、主に以下の3つの性質を持つものである。
1.多くの領域にわたるものである
2.プロダクト全体に関わるものである
3.スケーラブルなものである
1.多くの領域にわたるとは
具体的に、グロースハックは以下の領域にわたるものである。
プロダクト デザイン エンジニアリング マーケティング 分析
2.プロダクト全体に関わるものである
Growthは次の優先順位で考えるべきものである。
エンゲージメント
リテンション
獲得
獲得だけが強調され過ぎているが、真のグロースにはエンゲージメントが一番大事である。
3.スケーラブルなものである
スケーラブルであるためのポイントは以下の3つ。
・そのGrowthを何度も繰り返せる(一発屋じゃない)
・ROI drivenである
・「ビルド → テスト → 学習」というサイクルを繰り返す
特にテストに関しては、グロースハッカーは科学者のようなマインドを持つことが必要。
グロースの方法論について
次に、グロースの方法論に関しては、以下の4つが鍵となる。
1.仮説を設定する 2.MVPで進める 3.PMFを40%以上獲得する (PMFとはプロダクトマーケットフィットの略で、そのプロダクトがなくなると心底困る人がユーザーに占める割合のこと) 4.スケールさせる
鍵となる戦術
・まずは優れたプロダクトをつくる(優れたプロダクトなくしてグロースなし)
・いかに効率的にターゲットに伝えられるか
・顧客を理解する ーなぜ自分のプロダクトを使ってくれているのか等を、解析ツールでの定量データと対面のユーザーインタビューの定性データをうまく組み合わせて理解する。
・鍵となるKPIを設定する ーPV数や、MAUなどのビッグナンバーにフォーカスし過ぎないこと。ビッグナンバーを見ていては高速グロースは不可能。
・エンゲージメントやリテンションにフォーカスしろ。 ー氏が初期に手がけたViddyでは、Facebookの初期のオープングラフパートナーとなって、大量の登録を確保したが、全く再訪してくれなかった。
Huluでの実際のグロースハック事例
米Huluの特徴
まず、米Huluは日本のそれとは若干サービスが異なるので、説明を。
2007年にジョイント・ベンチャーとしてスタートしたHuluは、初期の頃TVドラマにフォーカスしていた。 同様のサービスであるNetflixと大きく異なる点は、今放送しているドラマを見られること。 放送の次の日にはその話を見ることができる。
米Huluには無料版があり、無料版では、最新5話のみ見ることができる。
そして、課金することで、全話見ることができる。
彼のミッションは、この課金ユーザーを増やすことだった。
トップページの最適化
グローバルメニューの並びが不自然だった。 オーガニック流入の大部分がトップページに来ていたので、いろいろと改善していくことに。
より、視覚的に魅力を伝えられるようにした。 Kidsコンテントを目立つ箇所に配置。なぜならKid'sコンテンツは親が子どもに与えられるという意味でとても重要だから。 Netflixはそれで成功したところもある。
ドラマ詳細ページ
ユーザーは放送中のドラマを見逃したらそのドラマ名でググる。 そのため、ドラマの紹介テキストを入れるなどしてSEO対策に力を入れた。
エピソード数を表示して、ベネフィットを数で示した。
更に複数デバイスで見れることをボタンの画像で示した。
課金LP
1st. (まだAndrewが来る前、ABテスト全然してなかった)
メリットが羅列されていてわかりづらいし、シーズンチケットという言い方も伝わりづらい。
テキスト量を減らし、画像を大きくすることで魅力的にした。 価格を目立つ箇所に配置し、いくら払うのか分かりやすくした。
課金ボタンの代わりに「無料で試す」ボタンに変えた。
ただ、依然として説明が細かすぎて誰も読まない状態だった。
よりビジュアリーにした。 更にNew York Timesに掲載されたと表示することで、ユーザーに安心感を与えた。 無料版と課金伴の比較表を設けた。
しかし、依然として要素が多すぎる!
細かい説明はなくした。 詳細な説明を見たい人は、下の方にリンクを別に設けておけば読んでくれる。
プロダクトのコアである、テレビドラマを全面に押し出した。 登録ボタンを右にしてみた。
無料期間を2ヶ月にしてみた。
Downton Abbey(人気ドラマの名前)の全シーズンを見よう!というキャッチに変えてみた。
登録フォーム
項目が多すぎる。
無料と有料の登録フローを分けてシンプルに。 メールアドレスの再入力欄なんて要らない。誰も間違えない。
Hulu+もあるよ!と伝える。
メアドなどは既に聞いているので必要ない。クレジットカード情報とZipcodeのみ聞く。
登録させて満足せずにRetentionを高めるためのページも用意する。 具体的には、使い方のチュートリアルなど。
解約ページ
これ超大事!
キャンセルとの間にいかに摩擦を作れるか。
①やめる前にカスタマーサポート番号を提示する。
②有料Ver.を一旦止める機能を提供する。 テレビにはシーズンがあるので、12週間課金を止める。12週間後は自動で課金。
チェックボックスを入れ、解約ボタンを押すと、ポップアップで「1ヶ月無料にするけど、本当にやめちゃうの!?」と聞く。
グロースハッカー見習いはこう思った。
Andreiの事例を見て、"地味"という印象を受けた方もいるのではないでしょうか。
結局、地味でもなんでもグロースにつながることは高速で全部やり切る。 そういう人物が真のグロースハッカーなのだと思います。
そんなAndreiですが、今日VASILYのオフィスにGrowthHacker.jpの高橋さんと一緒に遊びに来てくれました!
iQONのグロースに関する相談にも親身に乗ってくれて凄く良い方でした! 会話の内容は後日記事にしたいと思います!!